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●宿命(注:ゼルアメです 突然だが、「宿命」というものは確かに存在すると思う。 ちなみに「運命」と「宿命」は別物だ。 例えばリナ。 あいつの場合、厄介ごとに好かれる体質と性格を持っているから、本人の意思に関係なくトラブルが押し寄せてくる宿命にあるらしい。 むしろ自分から逆境を楽しんでいるようにさえ思える。初めて見た時はただのナマイキな嬢ちゃんだった。 しかしその華奢な身体に似合わず勝気で大食いで魔道オタクで金にがめつくて・・・いや、これ以上は言うまい。 まぁ「宿命」はともかく「運命」なんて単語をリナの前で口にしようものなら鼻で笑われそうな気もするがな。 例えばガウリイ。 ガウリイの旦那は生来の世話好きのようだ。 なんでもばあちゃんに「女、子どもには優しくしろ」と言われて育ってきたらしい。 何を間違えたかリナの保護者を自称しているが、本人はいたってその関係を当たり前のものと認識している。 まったく、何を好き好んでリナの保護者を自称しているのか・・・は、もう解っているさ。 無自覚なのは当のリナ本人だけだろうこともな。気の毒だが旦那、これも宿命だと思って耐えろ。 こいつらの関係がどう変化するかなんぞ、今の俺には何の関係もないことだ。そうだ、そういうことにしておく。 それから・・・・ 目の前で正義について熱く語っているオヒメサマ。 これがやっかいなんだ。 王族としての宿命なんぞものともせず、こうして俺たちについてきて正義の為に拳を握る。 どういういきさつでヒーローオタクに目覚めたのか知るところではないが、こちらとしては危なっかしくて仕方がない。 こいつときたら、高いところに上りたがるし、そのくせ落ちたり・・・・ 「ゼルガディスさん?お茶、そのままだとこぼれますよ?」 「・・・あ?」 突然目の前に瞳があったりする。 アメリアは身を乗り出してぱたぱたと右手を閃かせた。 反射的にのけぞる。 だ、誰だって突然目の前に瞳があったら驚くだろうが? いかん。俺の沈着冷静なイメージが。 「おや~?顔が紫色になってるわよ♪何に見とれてたのかなぁゼルちゃ~ん?」 「なんでもない。なんとも言えない目で見るな」 リナは、にやにや笑いながらぴこぴことフォークをこちらへ向けた。 ・・・その観察力を少しは旦那に向けてやれ。 「ん?なんだゼル、もう飯は食わないのか?そんじゃあ、そのエビフライもらうぞっ!」 「だあ~~っ!抜け駆けとは卑怯なっ!あたしが目を付けていたエビフライさんになんてことをっ!」 くるくると話題が変わっていくのはこいつらの特徴だ。それがリナとガウリイなんだ。 閃くナイフやフォークの軌跡を見守りながら、俺はこいつらに振り回される宿命にあるのだと思う・・・認めたくはないが。 顔が紫色になっている?ほっといてくれ。熱でもあるんだろう。 再び冷静さを取り戻した途端、それは起こった。 「ゼルガディスさん、本当におかしいですよ。熱でもあるんですか?」 先ほど目の前でぱたぱた踊っていた手は、俺の額にぴたりと当てられた。 またもやのけぞる。 不覚・・・・・。 追記。俺は、このお姫様にも振り回される宿命にあるらしい。 昼飯を終えた俺たちは、早々に飯屋を後にした。 次の街で今日の宿を見つけなければならない。 まったく。「残酷な魔剣士ゼルガディス」の名が泣くな。 俺がどんどんいぢられキャラになって行く気がするのは気のせいか? ・・・いや、それについて考えるのはやめよう。 馴れ合うなんてこんな光景、こいつらに出会う前の俺が知ったら憤死するだろう。 トラブルメイカーにくらげに正義のお姫様。 こつらと出会ってから、俺の「宿命」ってやつは大きく変わった気がする。 いや、正確には俺が変わったから、宿命も大きく変わったのか。 ・・・・・こんなことを考えるなんて、本当に熱があるのかもしれないな。 「ゼルガディスさん、どうしたんですか?行きますよ~」 「・・・ああ、今行く」 だが、こんな宿命もまんざらじゃない、なんて思っている俺が居るのは、こいつらには言わないでおこうと思う。 End. 生ぬるくゼルアメ(笑 うちのゼルさんはみんなに振り回されるお方です。 |
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